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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 その翌日の夕刻、黄昏時に店を閉め、薫子は町の家に戻った。実家にいて父に無理矢理入内させられそうになった時、薫子は屋敷をひそかに飛び出した。その折、十二歳から乳母と暮らしていた家は出て別の住まいを借りた。もちろん、父に見つけ出されるのを怖れたからだ。
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