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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 思いがけない優しい言葉に、薫子はつい涙ぐんでしまった。
「ありがとう、小平太さんは優しいのね」
「いや、そんな。俺は全然優しくもないし、良い歳をして女の一人もいねえんだ。まあ、男前ってわけでもないし、おまけに気の利いた科白一つ言えるような器用なこともできねえと来てる。
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