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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 青龍が低い声で続けた。
「この国ではどうか知らんが、俺の祖国では、龍は皇帝の象徴だ。滅多と見かけん貴人の相だよ。だが、何故、お前のような者がこんな場所にいる?」
「―」
 承平の顔色が一瞬、変わったように見えたのは気のせいだったのか。彼は乾いた笑いを響かせた。
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