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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
「承平さん」
 帝は囓りかけの饅頭を平然と食べている。
「おお、お前さんは薫ちゃんの許婚者だね」
 小間物屋が細い眼を見開く。帝は如才なく愛想笑いを振りまいた。
「いつも【女房】がお世話になってまして」
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