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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
 その瞳の剣呑さは満更言葉だけでは済まなさそうな危険を孕んでいる。後宮の奥まった寝所で一日中、夜も昼もなく彼に抱かれ続ける自分を想像して、薫子は目眩を憶えた。つい先日、町の家で彼から憶えさせられたばかりの危うい熱を思い出し、頬だけでなく身体まで熱くなる。
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