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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
―そうね。私も愉しみにしていてよ。実は―。
 と、継母が浮き浮きと少女のように愉しげに耳許で囁いた言葉は今、思い返すと頬が熱くなる。継母はこう囁いたのである。
―実はもう、赤児の産着を縫い上げているのですよ。赤児はたくさん汚しますから、幾つあっても足りないくらいでしょうしね。
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