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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
 薫子は必死な面持ちで言った。
「お願い、小平太さん。私をこのまま見逃して。勾玉はちゃんと内裏に私が戻すから。そうすれば、小平太さんはこれ以上、罪を犯さずにはすむでしょ」
「勾玉を取り返しにきたのか! 薫、お前はまさか俺に罪を犯させまいとこんなところまで来たってえのか!?」
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