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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
「―チッ」
 男が渋々ながらも薫子から降りた。急に男の身体の重みがなくなり、薫子は涙の浮かんだ眼で震えながら身を起こした。
「お前たち、皆、しばらく出ていろ」
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