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私は犬
第3章 【第1章】帰国
家の中に足を踏み入れると、去年お伺いした時とほとんど変わっていなくて、記憶とたいして違わない風景にホッと心が安らぐ
おば様に促されるままにテラスに面した応接室へと足を運ぶ。
いかにもおば様らしい、薄いモスグリーンを基調にしてマホガニーの家具たちで整えられた、少しだけ地味めだけれどもロココ調を思わせる室内には、たくさんの胡蝶蘭が所狭しと飾られていて
それらを目にしたとたん「お花がたくさんあるわ!」と、思わず口に出てしまう。
すると、「廣徳(ひろのり)の結婚がやっと決まってね、皆様がお祝いに下さったの。まだまだあるのよ。今からでもお花屋さんが開けるわ」
とおば様は嬉しそうに微笑まれる。
「そうね、胡蝶蘭しか無いお花屋さんなんてユニークね。きっと流行るわ」
と言葉を返すと、なんだか愉快な気持ちになってきて、思わず二人で顔を見合せて、クスクスと笑いあった。
いけない!お祝いの言葉をのべなくては!慌てて「お兄さまのご結婚おめでとうございます。私も嬉しいわ、自分のことみたい」
とお伝えしたけれど、これで良かったかしら?
やがて、お手伝いの幸江さんがお茶を運んで来て下さった。頂きながらお喋りは続く
「廣徳は結婚して出て行ってしまうし、弟の孝徳(たかのり)はお仕事であまり帰ってこないし。真子ちゃんが来てくれて、本当に良かったわ」
と、仰っていただけて、ちょっぴり照れくさかったけれど、
「この際だから、客間ではなくて、お2階にきちんと真子ちゃんのお部屋を用意しようと思うの。でね、家具なんかも、好きなものを選んで欲しいのよ」
と言いながら、大量の資料を広げ始めたのを見てびっくりした。だって、そんな事を考えたことも無かったんだもの
おば様に促されるままにテラスに面した応接室へと足を運ぶ。
いかにもおば様らしい、薄いモスグリーンを基調にしてマホガニーの家具たちで整えられた、少しだけ地味めだけれどもロココ調を思わせる室内には、たくさんの胡蝶蘭が所狭しと飾られていて
それらを目にしたとたん「お花がたくさんあるわ!」と、思わず口に出てしまう。
すると、「廣徳(ひろのり)の結婚がやっと決まってね、皆様がお祝いに下さったの。まだまだあるのよ。今からでもお花屋さんが開けるわ」
とおば様は嬉しそうに微笑まれる。
「そうね、胡蝶蘭しか無いお花屋さんなんてユニークね。きっと流行るわ」
と言葉を返すと、なんだか愉快な気持ちになってきて、思わず二人で顔を見合せて、クスクスと笑いあった。
いけない!お祝いの言葉をのべなくては!慌てて「お兄さまのご結婚おめでとうございます。私も嬉しいわ、自分のことみたい」
とお伝えしたけれど、これで良かったかしら?
やがて、お手伝いの幸江さんがお茶を運んで来て下さった。頂きながらお喋りは続く
「廣徳は結婚して出て行ってしまうし、弟の孝徳(たかのり)はお仕事であまり帰ってこないし。真子ちゃんが来てくれて、本当に良かったわ」
と、仰っていただけて、ちょっぴり照れくさかったけれど、
「この際だから、客間ではなくて、お2階にきちんと真子ちゃんのお部屋を用意しようと思うの。でね、家具なんかも、好きなものを選んで欲しいのよ」
と言いながら、大量の資料を広げ始めたのを見てびっくりした。だって、そんな事を考えたことも無かったんだもの