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私は犬
第16章 人並みになりたい*
お店の方に個室に通され、椅子を引いて頂いたので条件反射で身体が動いたみたい。気が付いたら着席していた。
硝子越しに、夕暮れと夜が混ざりあった空に包まれた、寂しい街並みが広がっている…。高い所は好きじゃないのよ……。
「どうした?」
「どうもしません。ご用件は?手短かにお願いいたします。」
メニューを見ている音羽さんに、なるべくそっけなく聞こえるように告げる。あの後、次にとるべき態度を、鏡の前でたくさん練習したのよ。
「まぁ…。アレだ。食べながら話そう。ここのホテルは香港資本だから、広東料理が旨いんだ。食いたいもんあるか?」
「ないわ…。」
だって音羽さんとお食事するつもりなんて無いもの。お茶だけで結構よ。
「嫌いなもんあるか?」
あなたが嫌いっ!って言っていいかしら?
「特に無いわ…。」
「普段、中華で何を食べてる?」
「さぁ…。気にした事無いから分からないわ。お返事にならなくて残念だけど。」
「適当に頼むわ…。」
「どうぞ。私に構わずそうなさって。」
よく見ると、音羽さんも綺麗な顔をしているのね。鼻筋が通っていて…。唇が少し薄情そうで。孝徳さんより背が高くて、顎がシャープね。孝徳さんのお顔はもっと四角いもの。
同じお店で仕立てた背広でも、着る人が違えば全く印象が違うのね。。
硝子越しに、夕暮れと夜が混ざりあった空に包まれた、寂しい街並みが広がっている…。高い所は好きじゃないのよ……。
「どうした?」
「どうもしません。ご用件は?手短かにお願いいたします。」
メニューを見ている音羽さんに、なるべくそっけなく聞こえるように告げる。あの後、次にとるべき態度を、鏡の前でたくさん練習したのよ。
「まぁ…。アレだ。食べながら話そう。ここのホテルは香港資本だから、広東料理が旨いんだ。食いたいもんあるか?」
「ないわ…。」
だって音羽さんとお食事するつもりなんて無いもの。お茶だけで結構よ。
「嫌いなもんあるか?」
あなたが嫌いっ!って言っていいかしら?
「特に無いわ…。」
「普段、中華で何を食べてる?」
「さぁ…。気にした事無いから分からないわ。お返事にならなくて残念だけど。」
「適当に頼むわ…。」
「どうぞ。私に構わずそうなさって。」
よく見ると、音羽さんも綺麗な顔をしているのね。鼻筋が通っていて…。唇が少し薄情そうで。孝徳さんより背が高くて、顎がシャープね。孝徳さんのお顔はもっと四角いもの。
同じお店で仕立てた背広でも、着る人が違えば全く印象が違うのね。。