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私は犬
第23章 私の事情

「そろそろ行くか。」

そう言われて目が合って。あんな事やこんな事を考えていたものだから、急に頭を切り替えられなくてドギマギしてしまう。

富士山そっちのけで有史さんの裸を思い出していたなんて事…。絶対に気付かれませんように…。

月曜日

給湯室で池ノ内さんに詰め寄られた。

「あんた性格悪すぎ。美貴が主任の事を好きだって知ってる癖に、よくあんな事が出来るね。美貴、主任に注意されて泣いてたんだからっ!」

主任に注意?あぁ、あの件ね…。

「謝りなさいよっ。ちゃんと美貴に謝って。」

これ、笹木さんに謝る事なのかな?んー。違う気がする。

「お言葉ですが、仕事に主観は必要無いと思います。個人的事情を持ち出すのは止めてください。」

「あんた、覚えてなさいよっ。整形淫乱クソビッチ!」

そう言い捨てて、池ノ内さんは出て行ってしまった。

整形は違うから何とも思わないわ。歯の矯正以外、した事無いもの。淫乱は…………。今は置いといて、クソビッチね。はいはいビッチで結構よ。クソは余分だけど。

ビッチって嫌な女に使う言葉。そう言いたいほど私が嫌いなのね。クソババア的な意味もあるけど、意味、ちゃんと分かっているのかしら?私、池ノ内さんより若いのよ?私がババアなら、貴女は老婆になっちゃうわ。
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