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私は犬
第25章 罪には罰を*
「それにね、私、ちょっとだけ綺麗になりたいの。誰が見てもみっともなくない程度に…。」

「……。あんた。まだそんな事言って………。」

あ…。兎のティッシュで鼻かみ出した……。

「お願いだから、ちゃんと鏡を見て。この顔が綺麗じゃないと言うのなら、世の中の女の顔は、濡れた餡パンになっちゃうわ。」

濡れた…餡パン?今度、濡らしてみなきゃ。餡パンにお水かければいいの?

「それにこの長い脚。横に並ぶとわたしの胃の所まで脚よ。パリコレのランウェイだって歩けるわ。」

「ソバカスが消えた真っ白いお肌にピンクの唇。笑うと少し垂れる大きな目に真っ黒な瞳。睫毛だってこんなに長くて…。綺麗な卵形の輪郭に、憎たらしい程整った鼻。あんた、これだけの美しさに恵まれているのに、ちっとも分かってないなんて…。」

「あんだに足りないのは……お化粧じゃなぐで…ズズッ…自信よ……。」

兎のティッシュ大活躍ね…。どこで買っているのかしら?

「とにがぐっ…綺麗になりだがったら…ズッ、まずその眼鏡を外じなざい……。」

「分かった。分かったから、剛ちゃん、もう泣かないで。」

「泣いでんぢゃないわ。ぐやぢいだげよ……。」
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