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私は犬
第29章 諦めろ*
なんでだろう。なんで許してしまうんだろう。本当は怒りたいのに。そういえば、この間もこうだった…。

「出たらお薬を塗ってくれる?」

「わかった。」

うん。これでおしまいにしよう。酔っていただけなのだろうから…。

「はぁ〜っ。真子っ。」

また始まった…。それは何のため息ですか?ため息を吐きながら、私の名前を呼ぶ意味が、全く分からない…。

・・・・・・・・・・・・・・・・

お稽古はお休みしよう。飛んだり跳ねたりすると、胸がズキズキ痛い。痛みが落ち着いたら、平日の退社後に改めて行けばいいもの。

そう思い立って、目の前で薬を塗ってくれている有史さんにも、そう伝えた。

「一応、飲んどけ。」

そう言われて鎮痛剤を飲む。この様子だと、2〜3日もすれば落ち着くだろう。

「なぁ、お前歩ける?大丈夫なら、飯食いがてら、少し散歩しねぇ?」

歩く位なら大丈夫。少し早いお昼を外で食べるのも悪くない。幸い、雨は止んでいる。

着替えるために自宅に戻った。クローゼットに入って、チェストから新しい下着を取り出す。ブラジャー。この状態で身に付けたら痛いかな?どうしよう…。
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