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私は犬
第29章 諦めろ*
「なんでこんなに…。」
昨夜、おっぱいをたくさん噛まれたのは覚えている。止めてと叫びながら、逃げようともがき続けたのも覚えている。だけど、こんなに酷く噛まれてたなんて知らなかった…。そっと触れてみると、打撲の痕のようにズキリと痛んだ。
顔をあげると、困った犬のような顔をした有史さんと目があった。
「わりぃ…。」
そんな顔をして謝罪する位なら、はじめから、こんな事をやらなければいいのに。
「…痛むから触らないで…。」
掠れた声でそう告げて、バスルームの扉を開けた。
身体を優しく洗ってもらって、鎮痛作用のあるローマンカモミールの入浴剤をドボドボと放り込んで、湯船に身体を沈めると、案の定、有史さんが後ろへ身を滑らせてきた。
「今は冷やせ。」
と言って、痛むおっぱいに保冷剤を乗せてくれた。さっき急に出て行ったのは、これを取りに行ってたのね…。
「…ありがとう。噛みすぎよ。仔犬みたいに歯でも生え変わるの?」
単に責めても仕方ないと思って、ちょっと皮肉を言ってみる。
「わりぃ。酔ってた…。」
後ろから、肩に顎を乗せるようにしながら、言葉少なに謝罪と弁解を重ねる有史さんは、さっきみたいに困った犬のような顔をしているに違いない。
昨夜、おっぱいをたくさん噛まれたのは覚えている。止めてと叫びながら、逃げようともがき続けたのも覚えている。だけど、こんなに酷く噛まれてたなんて知らなかった…。そっと触れてみると、打撲の痕のようにズキリと痛んだ。
顔をあげると、困った犬のような顔をした有史さんと目があった。
「わりぃ…。」
そんな顔をして謝罪する位なら、はじめから、こんな事をやらなければいいのに。
「…痛むから触らないで…。」
掠れた声でそう告げて、バスルームの扉を開けた。
身体を優しく洗ってもらって、鎮痛作用のあるローマンカモミールの入浴剤をドボドボと放り込んで、湯船に身体を沈めると、案の定、有史さんが後ろへ身を滑らせてきた。
「今は冷やせ。」
と言って、痛むおっぱいに保冷剤を乗せてくれた。さっき急に出て行ったのは、これを取りに行ってたのね…。
「…ありがとう。噛みすぎよ。仔犬みたいに歯でも生え変わるの?」
単に責めても仕方ないと思って、ちょっと皮肉を言ってみる。
「わりぃ。酔ってた…。」
後ろから、肩に顎を乗せるようにしながら、言葉少なに謝罪と弁解を重ねる有史さんは、さっきみたいに困った犬のような顔をしているに違いない。