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私は犬
第30章 主導権*
ぐったりした身体をソファーに横たえながら、食べたくもない食事を摂る。

「ほら、口開けろ。」

有史さんが口に何かを放り込んでくる。さっきは卵で次は、チキンか…。

もう食べたくない…。セックスすると、お腹がちっとも空かない。これ、体重管理に良いかもしれない…。

「食わねぇならこれ飲め。残さず全部飲めよ。」

そう言って渡されたのは、シェイクのような冷たいスムージーだった。1口飲むと甘くて美味しい。

「これ、なぁに?何が入っているの?」

「豆腐とヨーグルトと苺と蜂蜜。」

ふむふむ。たんぱく質バッチリね。有史さんは、器用に家事をこなすからビックリする。

「こういうの、どこで覚えるの?」

「これは、ジムで教わった。こういうの詳しい奴がいるんだ。」

ふうん、詳しいんだ…。その人、凄いなぁ。これ、朝ご飯にも良さそう。もっと色んな味が欲しいな…。今度、実験してみよう。

「ちゃんと飲め。今から身体作っとかないと、夏バテるぞ。」

ああ、そうだった。日本の夏は空気が重たい…。空気に重力があるかのように、身体中にまとわりついてくるんだった…。

「ちゃんと飲んだら、寝る前に足、揉んでやる。」

「分かった!ちゃんと飲む!」

寝る前のマッサージって、すっごく気持ちいいから大好き。
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