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私は犬
第31章 私の事情②
「な、別の酒持ってきてやるから。」

そう言って、有史さんは隣に行っちゃった。わざわざ取りに行かなくても、このお酒でいいのに。なんて勝手な人なんだろう…。

仕方なくリビングで待っていると、酒瓶を抱えた有史さんが戻ってきた。

「ほら、持って来てやった。こん中から好きなだけ掛けろ。アレは駄目。分かった?」

「わかんない…。」

私の唇がアヒルみたいな形になるまで、頬っぺたを片手で摘まんで、無理矢理言質を取ると、有史さんはバスルームに消えて行った。

渋々、マッカラン以外のお酒を試す。シェリー酒、いまいち。ブランデー、却下。ラム酒、よくある味。やっぱりウイスキーがいい。

竹鶴21と書かれたお酒をグラスに入れて舐めてみた。コレ、ウイスキーだ。山崎18というのもある。舐めてみたらウイスキーだった。

どっちもいい感じだけど、比べてみなきゃ分からないわ。器にアイスをよそって、それぞれ掛けて食べてみた。うーん…。微妙過ぎてよく分からない。

「なぁ…。テーブル一面に器並べて楽しいか?」

悩んでいたら、お風呂から出た有史さんが目の前にいた。

「楽しいわよ。だから邪魔しないで。」

全く、いつも邪魔ばっかりしてくるから嫌になっちゃう…。
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