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私は犬
第32章 我慢の限界*
「なめし終わってねーけど仕方ねぇ…。」

さっきまでの先生みたいな口調から一転、1人でぶつぶつ何かを言ってるけど大丈夫かしら?頭的な意味で…。

「お仕置きしような…。」

有史さんは、私の顎をキツク掴みながら優しくそう言うと、細目の縄を右足の親指に掛けた。その縄は器用に足の甲に這わされ、所々に結び目を作りながら、右足を丸ごと肉塊のように縛り上げていく。右足だけ縄の靴下履いたみたい…。親指に掛けられた縄が、足の付け根を通して少し硬い縄の感触を肌に伝えてくる

「ちゃんと見てろ…。」

有史さんは、肉塊のように縛った右足にそっと唇を押し付けると、私の目を見つめながらそう呟いた。縛られた右足から、風邪をひいた時のようなゾクゾクが駈け登ってくる。吸い寄せられたみたいに、縄を捌く有史さんの手元から目が…離せない…。

右足を縛った縄は、両足首に回され、くるくると手錠みたいに、ひとまとめに縛りあげられた。

「このまま、足、全部縛ってやろうか?」

有史さんの手が、縄をシュッシュッと捌くと、縄が両膝下に巻き付けられていく…。両足をきつく拘束した縄は、膝下で止まった。

「両手、前に出せ…。」

言われるがままに差し出した両手の指の付け根を、硬い縄が舐めるように這う。

「気持ちいいだろ?」

私の目を見つめたまま、腕をねっとり舐めあげた有史さんが、そう囁いた。
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