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私は犬
第32章 我慢の限界*
喉の奥がキューっと締まって、心臓がドキドキする。

「胸の前で腕を組め。そうだ…。」

頭の中から思考が抜け落ちて、有史さんの言葉の通りに身体が動く…。指先から手首まで縄を掛けられて胸の前で、十字に交差させられた。

「このまま、待ってろ…。」

そう言い残して、寝室へと姿を消した有史さんが、再び姿を表した時には、いつもの縄の束を手にしていた。

「ちゃんと待てたな。もっと気持ちよくしてやる…。」

言い付けを守ったご褒美のような優しいキスを落とすと、シュルシュルと目の前で縄束を解き始める。交差させた手首の間に縄をかけてしっかり固定すると、袖の無いワンピースの上から二の腕ごと胸の下と上をきつく締め上げた。

足や手首を縛る縄とは全然違う、柔らかい縄が、肌に吸い付いつくように食い込んで、凄く気持ちいい…。

ワンピースの上から、ウエストやお尻にも縄が掛けられ、スカートがめくられて、太腿にも縄がくるくると巻き付いた。

「悪い子は、このまま反省してろ…。」

有史さんはそう言いながら身体中を10本の指でサワサワと撫で上げる。そして、ソファーの上に私を転がすと、私の存在なんかまるで気にも止めない様子で、テーブルの上を片付け始めた。
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