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私は犬
第2章 プロローグ
慌てて彼を追うのだけれど、拘束された四肢では追い付けない。


両肘と両膝を懸命にヨチヨチと動かしながら移動していると、着替えを終えた彼が近づいてきた


「おまえ、勝手に動きまわるなよ。また肘と膝小僧が赤くなるだろ。」

そんな事を言われても、独りは嫌なのっ!置いていかないで!


そんな事を考えていたら、「すっげー不細工」とニヤニヤしながら告げられて、ついでのように頬を突っつかれた


また、口にしたい気持ちが勝手に顔に出てしまったのかしら?ちょっぴり恥ずかしい……。



「風呂入るぞ。洗ってやるからおいで」そう言いながら、彼は私にはめられた赤い革の首輪に黒い革のリードを繋いでいる


相も変わらず乱暴な言い方だけど、それとはうらはらに、リードを着ける手つきはとても慎重で優しい。


それに、乱暴な口調にはすっかり馴れた。近頃では彼らしい口調だと好ましくさえ感じてしまっている



彼に曳かれて、肘と膝でバスルームの前までの廊下をゆっくり歩く。


浴室の前まで来ると、「待ってろな」と言いながら、いつものように四肢の拘束を解いてくれた


そして、床にペタリと座る私を残して、やっぱりいつものように1人、中へ消えて行った
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