この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
陽炎ーカゲロウー
第2章 初夜
市九郎に手を引かれるまま、赤猫は歩いた。
アジトは小さな集落のようになっていて、幾つもの簡素な家が立ち並ぶ。
その、一番奥。
それ程大きくない家の前で、市九郎は立ち止まり、
ガラリと戸を開け、中に入った。
真っ暗な家の中。
市九郎は赤猫を土間に立たせたまま、板間に上がると提灯から部屋の行灯に火を移した。
部屋の輪郭がぼうっと浮かびあがる。
囲炉裏と、衝立が見えた。
「上がれよ」
市九郎が促す。
赤猫は言われた通り上がろうとしたが、足の汚れが気になった。
「あ、あの、足…」
「足?そのままでいいよ。そんな大層な家じゃねぇ。」
そう言われては従うしかない。
おずおずと板間に上がる。
市九郎は毛皮の羽織を脱ぐと、部屋の隅に放り投げた。
「寝床はあの裏だ。先に入っとけ。俺はコレが終わったらすぐに行く」
そう言うと、スラリと腰の山刀を抜いた。
そのまま提灯と山刀を部屋の隅に置き、土間の方に歩いて行った。
アジトは小さな集落のようになっていて、幾つもの簡素な家が立ち並ぶ。
その、一番奥。
それ程大きくない家の前で、市九郎は立ち止まり、
ガラリと戸を開け、中に入った。
真っ暗な家の中。
市九郎は赤猫を土間に立たせたまま、板間に上がると提灯から部屋の行灯に火を移した。
部屋の輪郭がぼうっと浮かびあがる。
囲炉裏と、衝立が見えた。
「上がれよ」
市九郎が促す。
赤猫は言われた通り上がろうとしたが、足の汚れが気になった。
「あ、あの、足…」
「足?そのままでいいよ。そんな大層な家じゃねぇ。」
そう言われては従うしかない。
おずおずと板間に上がる。
市九郎は毛皮の羽織を脱ぐと、部屋の隅に放り投げた。
「寝床はあの裏だ。先に入っとけ。俺はコレが終わったらすぐに行く」
そう言うと、スラリと腰の山刀を抜いた。
そのまま提灯と山刀を部屋の隅に置き、土間の方に歩いて行った。