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陽炎ーカゲロウー
第1章 邂逅
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女は逃げることができぬまま。
男はその場に持っていた提灯を置くと、どかりとあぐらをかいた。
懐から煙管を取り出すと、灰を棄て、煙草の葉を詰めて火をつけた。
ぼんやりとした提灯の灯の元。
ふぅ、と息を吐く口元から、白い煙が立ち昇る。
その様子を、見るともなく見ていた。
どのくらいそうしていただろう。
沈黙を破ったのは、男の方だった。
「いつまで、ンな格好してやがる」
その声に、女はハッと我に返り、慌ててはだけた着物をかき合わせた。
まだ走って逃げることはできなさそうだが、そろり、と脚を縮め、男から距離を置こうとする。
男は、煙管の灰を棄てると立ち上がり、近づいてきた。
「そっちじゃねぇよ。
んなガラ骨みてぇな身体隠してどうしようってんだ。
覆面くらい取れって言ったんだよ。」
そう言うと、覆面に手を掛け、一気に引き剥がす。
男は無言で、女の顔を見た。
そのままニヤリ、と口角を吊り上げると、
「なかなかのツラ構えじゃねえか。」
そんな感想は、初めてだった。
女の顔には、酷い火傷の痕があった。
男はその場に持っていた提灯を置くと、どかりとあぐらをかいた。
懐から煙管を取り出すと、灰を棄て、煙草の葉を詰めて火をつけた。
ぼんやりとした提灯の灯の元。
ふぅ、と息を吐く口元から、白い煙が立ち昇る。
その様子を、見るともなく見ていた。
どのくらいそうしていただろう。
沈黙を破ったのは、男の方だった。
「いつまで、ンな格好してやがる」
その声に、女はハッと我に返り、慌ててはだけた着物をかき合わせた。
まだ走って逃げることはできなさそうだが、そろり、と脚を縮め、男から距離を置こうとする。
男は、煙管の灰を棄てると立ち上がり、近づいてきた。
「そっちじゃねぇよ。
んなガラ骨みてぇな身体隠してどうしようってんだ。
覆面くらい取れって言ったんだよ。」
そう言うと、覆面に手を掛け、一気に引き剥がす。
男は無言で、女の顔を見た。
そのままニヤリ、と口角を吊り上げると、
「なかなかのツラ構えじゃねえか。」
そんな感想は、初めてだった。
女の顔には、酷い火傷の痕があった。
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