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陽炎ーカゲロウー
第8章 陽炎
「…八尋も、私と、一緒だね。」
赤猫は、そっと八尋の首に腕を回す。
「赤猫、殿…?」
「私はね、子供の頃、家事で家が焼けたの。
家族はその時にみんな死んだ。
私だけが生き残ったの。
でも、こんな顔になって。どうやって生きて行けばいいか、誰も助けてくれる人はいなくて。
化物と呼ばれて、人から逃げるうちに、気付いたら夜盗になってた。
化物と呼ばれて、石を投げられたり、唾を吐かれたり。
施しだと残飯を投げられることもあった。こんな顔になったら、人じゃなくなるのかって、思ってた。
市九郎だけが、私を最初から女として扱ってくれた。
この火傷があってもいいんだ、って、抱いてくれた。
市九郎がいるから、私は自分を人だと思えたの。」
八尋の胸に顔を埋める赤猫に、八尋もそっと応える。
赤猫は、そっと八尋の首に腕を回す。
「赤猫、殿…?」
「私はね、子供の頃、家事で家が焼けたの。
家族はその時にみんな死んだ。
私だけが生き残ったの。
でも、こんな顔になって。どうやって生きて行けばいいか、誰も助けてくれる人はいなくて。
化物と呼ばれて、人から逃げるうちに、気付いたら夜盗になってた。
化物と呼ばれて、石を投げられたり、唾を吐かれたり。
施しだと残飯を投げられることもあった。こんな顔になったら、人じゃなくなるのかって、思ってた。
市九郎だけが、私を最初から女として扱ってくれた。
この火傷があってもいいんだ、って、抱いてくれた。
市九郎がいるから、私は自分を人だと思えたの。」
八尋の胸に顔を埋める赤猫に、八尋もそっと応える。