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陽炎ーカゲロウー
第8章 陽炎
「私たち二人だけではありません。
いつも作戦を立てる、幹部と言われる後の二人も、頭領に助けられた者たちです。」

「そうなの?」

「はい。二人の姿を見たことがありますか?」

「ない」

八尋は頷いて、

「後の二人は家から出ません。
兵衛は足が悪く、人並みには歩けません。
杖を使ってゆっくりとなら歩けますが、家の中で動くのが精一杯です。それも時間がかかる。
鷺は、目が見えません。
二人ともとても頭の切れる男ですが、やはり外の世界では一人前の扱いは受けられないでしょう。
外の世界では、さほど才などなくとも、五体満足であればそれなりに生きて行けます。
でも、どこか一部でも欠けてしまうと、途端に爪弾きにされたり、好奇の目で見られたり。
それは度合いや、失った理由や、周囲の人間との関係にもよるかもしれませんが、どうしても生き難くはなります。
頭領は、そんな弾かれた者を放って置けない。」

「そうなの?」

「最初は、私たちだけでした。下見と実行は頭領と私、
作戦は四人で立てて、四人で分ける。
それが、いつの頃からか、徐々に人が増えて行きました。今はそんなもの達だけではありませんが、元は、
頭領が、世に弾かれた者たちを寄せ集めた、それが陽炎の始まりでした。」
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