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ゆずの譲れない物
第3章 ●想い
「ゆずちゃん、いきなりダメだったかな?」

あぁ、まただ。困ったような笑顔

『あの、ここは、港さんの家ですか?』

「そうですよ」

『あの…』

「すまないが、帰す予定はないんだ」

『え?』

「手貸して」

『手?』

「そう。手 つなぎたいから、貸して」


なんで、この人は恥ずかしいことをすんなり、スマートに決めるのだろう

手をつながれ少し前を歩く港さん

歩幅をあわせてくれているんだろう
たまに振り向いて微笑んでくれる


エレベーターの中も無言

部屋の前に来たときに
繋いでる方と反対の手を頭に乗せられた

「強引でごめん。少し反省しているんだ…本当に少しだけどね。ゆずちゃんが今、帰りたいと言っても、帰したくないんだ。俺の部屋に来てくれますか?」

『帰りたかったら送ると言われるのかと思いました。』

クスクス笑う ゆず


少し笑った後、しっかり俺の瞳を見て
『港さんお邪魔します』と言った
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