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ゆずの譲れない物
第10章 ○実感
「ただいま」
『おかえりなさい』
パタパタと走ってくる ゆずちゃん
いつもは、ニコニコ笑顔だが
今日はシュンとしている
「気にしなくて良いと送っただろ?」
『でも!』
「じゃあ、お帰りのキスして!それで許す」
『え!』
一気に真っ赤になる
「ほら、早く!」
『…み、みなとさん!!』
目を軽く閉じた港さんは、少しだけ目を開け見下ろしてくる
その簡単な仕草にドキドキして恥ずかしくなる…
「する?しない?」
『…し、します』
「はいどうぞ」
少し、身体を前に倒し誘導してくれる港さん
口を目の前に…止まってしまい…なかなか、触れることができない
「ジラし作戦?」
至近距離で話をされ、港さんの息が顔にかかる…
「じれったい!」
そう言うと
後頭部に手を回し甘い甘いキスをされる
長い長いキスに息苦しくなり
抗議の意味を込め
港さんの肩をトントンとするが
止めてくれず…
『ん…ん』
声が漏れる…
少し唇が離れ
酸素を吸おうと口を開けると
温かいヌルッとした
舌が入ってきた
『ん…みな、んーっ…』
『はぁ…はぁ…はぁ』
やっと、離れて息を必死で整える
「昨日はもっともっとって言ってたのにね」
目を細めほほえみながら
頭をなでてくれる
『私、そんなこと…』
必死に否定しようとするけど
上手く文章にならない
「言ってたよ~抱っこしてとか、ちゅーしたいとか、大好きとか」
昨日、苦しい苦しい
おあずけをくらった俺は、
夜も眠れない気持ちだった
膝の上でスースーと寝息をたてる愛しい人を抱けない苦しみは、分かってもらえないだろうな