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氷解
第1章 氷解
私は聡さんと、付き合う。

ーーーーだって、ランチをした時、楽しかったんだもの。

私が欲しかったのは彼氏。

ーーー周防は、私のことに興味がないはず。
雅美といたのだから……

念願だった彼氏が出来るというのにーーーーどうして、私は虚しいんだろう?




トントンーーードアの叩く音。

「なんだよっ、タイミングの悪い店員だな」

聡が忌々しい顔をして、陽菜子から離れてドアに近づく。




ガチャッとドアを開けたのは、聡でもなく、カラオケの店員でもなかった。

立っていたのはーーー

「お嬢様、何をなさってるのですか? 帰りますよ」

冷たい氷のような瞳をした周防だった。

「なっ…….なんで、周防が……」

動揺する陽菜子に近づく周防。陽菜子の腕を掴んで、引き寄せた。

「貞操をお守りくださいと、私は申し上げましたよね?」


ボタンを開けられた陽菜子の胸元を見て、低い声で言う。

「あ……」

陽菜子は真っ赤な顔で俯きながら、はだけた胸元を隠す。

そんな陽菜子を冷たい氷のような瞳で見つめながら、

「帰りますよ」ーーーーと、低い声を放った。
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