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氷解
第1章 氷解
ーーー翌日、周防が家を出たのを確認して、陽菜子も家を出る。

聡とランチをして、カラオケに向かった。

陽菜子と聡は、さっきまでたわいのない雑談していたのに、カラオケの個室に入ると、聡が急に無言になる。


その空気に、陽菜子は気まずくなるが、

「その服……可愛いね」

聡が陽菜子を褒めながら、自分の身体を陽菜子の身体に近づけていった。

陽菜子のワンピース。

襟元から裾まで、全面にボタンがある服で。

周防が「このワンピースは、私といる時にしか着てはいけません」と、言って、クローゼットの奥に入れたモノだった。

陽菜子がわざわざこのワンピースを出して着たのも、周防に当てつけのようなものだった。

そのワンピースのボタンに聡の指が触れる。


「え?……あ、いや……」


プチン、プチンとボタンが上から外されて

「いやぁっ!」

と、身を翻したけど、聡が

「陽菜子ちゃん……好きなんだ」

と、陽菜子の唇に強引にキスをした。

周防も………雅美さんとキスをしていた。

ーーーそう思った途端に涙が溢れて、陽菜子は聡の「付き合ってほしい」という言葉を受け入れた。
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