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心雨~愛を探して~
第8章 二度目の口づけ
「ちょっ……からかわないでよ!」
「高校の頃のお返しー。じゃ、また今度」
「そうだね。あのね、成瀬くん」
「ん?」
「なんでもないよ。また今度ね!」
「あ、あぁ」
そう言って、私は成瀬くんに背を向ける。今なら成瀬くんがあの時、何を言おうとしたのか分かる。きっと二文字のあの言葉。危ないところだった。今、それを言ってしまうと全てが崩れてしまう。大粒の雨は今の私には好都合だった。だって、雨が涙を気づかせることなく流してくれるから。