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秘密のキスは蜜の味【完結】
第21章 これってサプライズ?

「葉瑠…送る物はもうないわね?」

うん。大丈夫だと思う!

「この家誰も住まなくなって、ちょっと寂しいね」
「そうね!でもお母さん達は今まで通り帰ってくるから…」


うん。お母さんもここを片付けて明日にはお父さんの所に戻っちゃう。

イタズラ電話は嫌だったけど22年も住んでたんだもの、想い出がたくさんある。
私もたまには帰って来るからね!

「葉瑠…もう出た方がいいんじゃない」

そうだね!
電車乗り遅れたらカズに叱られちゃう。

「お母さん…ありがとう。行ってきます」

あっ葉瑠…

んっ?なに…


──鏡也君に宜しくね!
何かあったら、すぐ連絡してよ。───

困ったことがあったら誰かに相談して…ひとりで悩まないこと!

また病院からの電話なんて嫌よ。って……凄く心配してくれる。

うん…わかったよ。
もうそんな事はないようにします!


外は暑いからいいって言ったのに…お母さんったらわざわざ玄関の外まで出てくれた。

「じゃぁ…行くよ」
「いってらっしゃい」

お母さん…たぶん、ちょっと眼が潤んでた!

気が付いたけど、目を合わせたら私まで泣いちゃうから必死にこらえて見ないようにしてたの……


その角を曲がればもう家は見えなくなる…最後にもう1度だけ──


…あっ…お母さん…

振り返るとお母さんがまだ立っててくれた。

最後にもう1度大きく手を振って歩きだした…


泣かない泣かない!
向こうに行ったら新しい生活が待ってるんだもん─

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