この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密のキスは蜜の味【完結】
第28章 寂しいけど頑張るから
そこを抜けたらもう本当に見えなくなる…
「きょぅゃくっ」呟いた言葉が聞こえるわけないけど─検査場に入る直前の鏡也君が振り返った。
私の様子をジッと見てる…顔なんか見ちゃったらもう涙が止まらないよ。
寂しくてどうしたらいいかわかんない!
「ン…きょ、うやく、ん」
〝葉瑠…〟え?
鏡也君が人の波に逆らってこちらに向かってくる。
ギュッ「葉瑠…」ウッ、ヒックヒック
廻りの眼も気にせず私を強く抱きしめてくれた…
♪札幌行き…15時30分発…539便の最終案内を致しております……♪
「葉瑠、頼む泣くな、ほんとにもう行くよ」
うん、コクコク
チュッ…!
グスッ、
私にキスだけしてすぐに保安検査場へ……
ウェ、ヒック、ヒック 鏡也君…
その後は1度も振り返らず搭乗口へと消えて行った。
グスッ、鏡也君…ウッ…ウッ……ヒックヒック
──//
鏡也君の乗った飛行機はとっくに飛び立った。
私はいつまでも動けなくて……
コツコツ─
「葉瑠ちゃん……」へっ?誰かに肩を叩かれて…なんで?グスッ
洋子さん、ヒロちゃんも──
「夕べ…鏡也に頼まれた、きっと葉瑠はずっと泣いてるから連れて帰ってくれって」
鏡也君…そんなことまで心配して…ヒック…ヒック…
「洋子…さん…鏡也…くっ…行っ…ちゃった、よぉ」
コクコク、いつまでも泣き続ける私の背中を洋子さんがずっとさすってくれた。
ヒック…ヒック…「ご、めん…ね」
「いいのよ、落ち着いた?」うん。
「葉瑠ちゃん、鏡也が心配するから帰ろ」─コクン。
空港を出ると自然と空を見上げる。
寂しいけど…頑張るからね心配しないで!