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秘密のキスは蜜の味【完結】
第28章 寂しいけど頑張るから

♪札幌行き…15時30分発…539便のご案内を致します……ご利用のお客様……搭乗口よりご搭乗下さい♪

アナウンスが流れた途端にドキドキと激しく心臓が鼓動する。

私が急にお喋りを止めたから…心配したんだね?
鏡也君が手を強く握ってくれた。

「……葉瑠…!」コクン…
分かってる!大丈夫だから─

「行かなきゃ」コクン。

「葉瑠はここにいる?」ブンブン…やだ!
検査場の前までなら私も行けるんだから─行く!

んじゃ行くよ……
俯いたままの私の手を引いてくれる。


「葉瑠はここまでだよ」コクコク、うん。
ずっと手を握ってくれてた鏡也君の手が離れて私の頬を撫でた!

最後に笑顔でバイバイって言うつもりだったのに言葉が出せない。
喋ったらきっと泣いちゃう!

泣かないって約束したから…心配しちゃうから…必死に我慢するしか出来なくて─

「着いたら電話するから」
俯いたまま─頷くだけ。コクン─

「………葉瑠…!じゃ、行くよ」ウッ……コクン。グスッ
私が喋らない理由を、鏡也君は分かってくれて…何も言わないでいてくれる。

「もう行かなきゃ」
鏡也君は私に背中を向けて歩き出した!

グッ、きょ、うやくん、グスッ

なんとか顔を上げて後ろ姿を見送るけど、溢れる涙で鏡也君の姿が霞んで見える……

「………」鏡也君…

声が出ないように…鏡也君に私が泣いてるって分からないように唇を噛んだ!

ウッ……ウッ…ウッ…

ごめんね。やっぱり我慢出来なかった!
気の利いた言葉も何も言えなくてごめんなさい。

鏡也君の後ろ姿をただ眺めていた。

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