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恋はどこからやってくる?
第1章 出会いは深夜
真面目で優しい雰囲気は感じるが、さすがに今日会ったばかりの人間に、ゲイをカミングアウトするような趣味を柏木は持っていない。
「絶対に、ねえ」
心など要らないと思っていたし、別れるならいつでも簡単に離れられる相手ではあった。
が、「子供が出来た」というその理由は、柏木のような男しか愛せない者にとってどれほどのダメージであるか。
たとえそれが事実であっても、肉体的にも制度的にも『家族』を持てない柏木のような人間たちへ、そのまま伝えるという事がどれ程のモラル違反であるか。
配慮のカケラもない相手に失望し、望んでも手に入らぬモノへの嫉妬と絶望に、柏木の心は折れる一歩手前だったのだ。
「柏木さん?」
紺野の声で我に返った柏木は、心配そうに覗く瞳に片頬を上げてみせた。
「悪りぃ、変な話しちまったな」
「絶対に、ねえ」
心など要らないと思っていたし、別れるならいつでも簡単に離れられる相手ではあった。
が、「子供が出来た」というその理由は、柏木のような男しか愛せない者にとってどれほどのダメージであるか。
たとえそれが事実であっても、肉体的にも制度的にも『家族』を持てない柏木のような人間たちへ、そのまま伝えるという事がどれ程のモラル違反であるか。
配慮のカケラもない相手に失望し、望んでも手に入らぬモノへの嫉妬と絶望に、柏木の心は折れる一歩手前だったのだ。
「柏木さん?」
紺野の声で我に返った柏木は、心配そうに覗く瞳に片頬を上げてみせた。
「悪りぃ、変な話しちまったな」