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恋はどこからやってくる?
第3章 柏木の事情
『ゲイに好かれてた、なんて知れたら困るんだよ』
相手の顔が醜く歪む。
──そんな顔をさせるつもりじゃなかったんだ。俺はただ…
ハッと目が覚めたが、久しぶりに見たリアルな夢に、柏木はしばらく体を起こせずいた。
心臓がドクドクと脈打ち、額には汗が浮かんでいる。
手探りでタバコをくわえたが、震える指先では火をつける事ができず、ライターごと壁に投げつけた。
「くそっ!」
髪をかきむしり、立てた膝に頭を打ち付けた。
柏木が同性しか好きになれないことを悟ったのは、中学生の時だった。
部活の先輩に恋をした。
成績の良かった先輩を追って進学校を目指し、必死で勉強をした。
晴れて高校に入学し、また同じ部活で一緒にいられることが嬉しかった。
レギュラーの先輩と同じピッチに立てるよう、誰よりも練習をした。
先輩に彼女が出来ても、笑顔で二人を見守った。
それはそれは頑張って。
頑張って頑張って。
いい後輩として、彼のそばに居続けられるよう。