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恋はどこからやってくる?
第3章 柏木の事情
「そうなんですね。 引き止めてしまってすみません。お疲れ様です」
申し訳ないと思いつつ、可能性はゼロだということを知らしめるが如く、柏木は無表情で出口へ向かった。
いくら恋愛対象ではないとしても、自分に好意を寄せてくれる相手に冷たい態度をとることは気分のよいものではない。
こんなことがあるたびに、柏木はいっそカミングアウトしてしまえばいいのか、と迷う。
しかしそのたびにあの日の先輩の歪んだ顔がフラッシュバックする。
──自分が傷つきたくないから相手を傷つけて…。俺は最低だな
駅へ向かう途中で、紺野に返信をしていない事を思い出し、柏木はまた沈んだ気持ちになった。
──会いたい。
あのふにゃりと笑う顔が見たい。
──あいつに俺の抱える暗い感情を吐き出したら、受け止めてくれるだろうか。
お前が好きだと言ったら、あいつは受け入れてくれるのだろうか。
「なに考えてる。あいつはノンケだぞ」
スマホを取り出して返信画面を開いた。
『ごめん、今夜は無理だ』
打ち終えてすぐ送信をタップする。
そして電源を切り、モヤモヤする気持ちと一緒に鞄の奥底へしまった。
申し訳ないと思いつつ、可能性はゼロだということを知らしめるが如く、柏木は無表情で出口へ向かった。
いくら恋愛対象ではないとしても、自分に好意を寄せてくれる相手に冷たい態度をとることは気分のよいものではない。
こんなことがあるたびに、柏木はいっそカミングアウトしてしまえばいいのか、と迷う。
しかしそのたびにあの日の先輩の歪んだ顔がフラッシュバックする。
──自分が傷つきたくないから相手を傷つけて…。俺は最低だな
駅へ向かう途中で、紺野に返信をしていない事を思い出し、柏木はまた沈んだ気持ちになった。
──会いたい。
あのふにゃりと笑う顔が見たい。
──あいつに俺の抱える暗い感情を吐き出したら、受け止めてくれるだろうか。
お前が好きだと言ったら、あいつは受け入れてくれるのだろうか。
「なに考えてる。あいつはノンケだぞ」
スマホを取り出して返信画面を開いた。
『ごめん、今夜は無理だ』
打ち終えてすぐ送信をタップする。
そして電源を切り、モヤモヤする気持ちと一緒に鞄の奥底へしまった。