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恋はどこからやってくる?
第3章 柏木の事情
『FRAGILE』と刻まれた木製のドアを開けると、薄暗い店内はタバコの煙がゆらゆらと揺れ、まるで深い海の底を思わせる。
その深海を泳ぐ魚は雄ばかり。
ここはゲイのためのバーだった。
柏木がカウンターに座ると、「あら良かった、生きてたのね!」と駆けよって来たのはこの店のママで、右耳に大粒のダイヤのピアスが光っている。
「彼のプレゼント♪ イミテーションじゃないわよ~」
と、はしゃいでいたのは半年ほど前か。
まだ続いてるんだな、と柏木はニヤリとした。
「ウイスキーソーダね」
タバコをくわえた柏木に火を差しだし、ママは腕を組んだ。
「心配してたのよ。 あれ以来顔見せないから」
ふぅと煙を吐き出した柏木は
「便りがないのは元気な印って言うよな」
片頬を上げて見せた。
その深海を泳ぐ魚は雄ばかり。
ここはゲイのためのバーだった。
柏木がカウンターに座ると、「あら良かった、生きてたのね!」と駆けよって来たのはこの店のママで、右耳に大粒のダイヤのピアスが光っている。
「彼のプレゼント♪ イミテーションじゃないわよ~」
と、はしゃいでいたのは半年ほど前か。
まだ続いてるんだな、と柏木はニヤリとした。
「ウイスキーソーダね」
タバコをくわえた柏木に火を差しだし、ママは腕を組んだ。
「心配してたのよ。 あれ以来顔見せないから」
ふぅと煙を吐き出した柏木は
「便りがないのは元気な印って言うよな」
片頬を上げて見せた。