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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第87章 季節を彩る紅色
そろそろ11月も終わる。
今、折しも周囲の光景は鮮やかに色づいている。
山々は錦のように艶やかな衣をまとい、眼を愉しませてくれる。
今日、車で川沿いを走っていたら、ハッと視線が釘付けになった。
川面に沿って木々が植わっているのだが、その一部が鮮やかに色づいて
その紅色が川面に映り込んでいる。
もちろん、その水面の部分は赤く染まっている。
本当にそこまで赤く染まっている木々はなく、その一点だけだったので、
かえって眼に付いた。
この川面は色々と珍しい発見があり、時に私を喜ばせてくれる。
晩秋の今に至る少し前、まだ秋の初めには
広い河原に所々、赤い曼珠沙華が咲いて、そこだけが文字通り
燃えるように見える。
河原一面に曼珠沙華が咲いている光景も恐らく見事には違いないだろうが、
だだっ広い河原に点々と咲く紅い花を見るのもまた良いものだ。
今の季節であれば、もう曼珠沙華はとうに終わり、
一面のススキが群れて風に穏やかにそよいでいる。
夕暮れ時には蜜柑色の夕陽が一面のススキの穂を照らし、
さながら金色に染まった穂が晩秋の風に揺れる様は黄金の波を見て居る
かのようだ。