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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第89章 鎌倉古道を歩いて~私的空想(妄想)紀行~
だからなのか、自分が描いた人物がかつてこの切通を通ったのだと

 思いつつ古道を歩いて(疑似で)いると、不思議な浮遊感のようなものに囚われました。

 歴史に魅せられる理由としては、人それぞれだと思います。

 私はかつて昔の人が通った歩いたこの道を

 はるか後の現代に生きる自分もまた歩いている―、そのことが不思議で

 なりません。

 そして、昔の人がここを通った時、何を考えていたのか、

 どのような想いでこの道を辿っていったのか。

 そんな風に想像してみます。

 ナレーションの受け売りではないけれど、

 趣のあるこの古道を歩いていると、あたかも八百年という時間を遡って

 いっているような気がする。

 まさにそんな心境になります。

 私は勉強もさしてしていないし、研究家でもないで、自分の興味のあることしか

 知りません。難しいことも判りませんし知りません。

 それでも、昔の人が自分の同じように泣いて笑っていたのだと考える時、

 今、自分が歩いている道をはるか昔の人も同じように歩いていたのだと考える時、

 そこに流れた時間を感じます。

 その流れた時間こそが歴史なのだと思います。

 そして、過去の時代が今へと繋がっているのなら、

 歴史は単なる昔のお話なのではなく、『現実に生きた人々の物語り』なのだ

 思います。

 そこには、歓びも哀しみもあったでしょう。

 怒りももちろん。

 今と変わらず、誰もが精一杯に自分の人生を生きていたに違いありません。

 私にとって歴史は単なる絵空事でもなく架空の出来事でもなく、

 生身の人が築き紡いだ壮大な人生という物語りです。

 歴史に名を残した人も、残さなかった人も、

 すべての人が懸命に生きた人生、たくさんの人生がおりなす

 一枚の大きなタペストリー。

 とでもいえば良いのでしょうか。

 いつか時間ができたら、そのときは是非、この鎌倉切通を今度は自分の足で

 本当に歩いてみたいものだと思いました。
 
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