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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第91章 清と朝鮮へ、哀しき母子~悲劇のソヒョン世子夫妻~
そのため、できるだけ誤解が大きくならない中に帰国する必要があったのです。

 そのためとはいえ、やっと逢えたと思ったら、また遠く離れ離れになるという

 悲劇です。

 私は最初、このドラマの冒頭シーンに圧倒され、引きこまれました。

 仁祖が清国の大軍の前に引き出され、拝跪するシーンに息を呑みました。

 まさに歴史的事件をこの目で見て居るような気になりました。

 確かに敗戦の責任は王様だけのものではないと思います。

 ただ、この王様、ドラマを見る限りは逃げてばかりで自分はあまり何もしない―。

 結局、その責めが世子夫妻に回ってきている。

 清へ人質として8年も囚われ、今また帰国は許されたものの、

 ずっと離れていたわが子たちが代わりに人質として清国に残る。

 世子夫妻の心は帰国の歓びと清へ大切なわが子達を残していく

 ために後ろ髪を引かれる思いであったことと思います。

 これを見ると、まさに激動の歴史に翻弄された悲劇の母子という

 言葉がふさわしい。

 今まで歴史ドラマを見ていて、そこまで感じたことはなかったけれど、

 この世子夫妻にはまさに、その言葉がふさわしいように思えます。

 8年ぶりに帰国したものの、猜疑心の強くなっている王様が息子を

 温かく迎え入れるとは思えません。

 これからどうなるか?
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