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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第108章 下弦の月~夜明け前~
時は流れ季節はうつろい
人は生まれ生きて やがて消える
この世に変わらないものなどあるのだろうか
蒼白い月はただ静かに
今はひっそりと眠るかのような家々を見下ろしている
ただ月だけがこれから百年先もずっとここにあって
変わらず私たち人間を見下ろしているのだろう
私は月を見上げ
月も私を見下ろす
私の立つ場所からは
薄い藍色の空に浮かぶ月は
まるで二つの建物だけを見つめているようだ
ただ ひたすら慈しみのこもった静謐なまなざしで
この世には他の何も存在しないかのように
三階家の壁を季節外れの朝顔が覆っている
すみれ色の小さな花がその小さな体をそっと晩秋の寒風に震わせた
人は生まれ生きて やがて消える
この世に変わらないものなどあるのだろうか
蒼白い月はただ静かに
今はひっそりと眠るかのような家々を見下ろしている
ただ月だけがこれから百年先もずっとここにあって
変わらず私たち人間を見下ろしているのだろう
私は月を見上げ
月も私を見下ろす
私の立つ場所からは
薄い藍色の空に浮かぶ月は
まるで二つの建物だけを見つめているようだ
ただ ひたすら慈しみのこもった静謐なまなざしで
この世には他の何も存在しないかのように
三階家の壁を季節外れの朝顔が覆っている
すみれ色の小さな花がその小さな体をそっと晩秋の寒風に震わせた