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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第109章 導きの蝶~不思議の森へようこそ~
夜風に混じる花の香りがふっと強くなった
刹那 強い夜風が吹き渡り 大樹の梢を妖しくざわめかせる
申し合わせたように一斉に風に舞い上がる花びら
花びらがいつしか純白の雪に変化し
私は降り止まぬ雪の花びらを見つめ続ける
呼吸さえ忘れたように 魂を絡め取られてしまったように
気が付けば 眼の前を小さな蝶がひらひらと飛んでいった
蝶が舞い
月は輝き
花は香る
月光に蒼く染まった蝶の名前を私は知らなかった
降りしきる雪の中を満開の花に戯れかけるように飛ぶ蒼き蝶
ずっと このまま美しい世界に自分を閉じ込めて
時を止めてしまいたい
抗いがたい危険な欲求を憶え始めたそのとき―
蝶がふっとかき消えた
刹那 強い夜風が吹き渡り 大樹の梢を妖しくざわめかせる
申し合わせたように一斉に風に舞い上がる花びら
花びらがいつしか純白の雪に変化し
私は降り止まぬ雪の花びらを見つめ続ける
呼吸さえ忘れたように 魂を絡め取られてしまったように
気が付けば 眼の前を小さな蝶がひらひらと飛んでいった
蝶が舞い
月は輝き
花は香る
月光に蒼く染まった蝶の名前を私は知らなかった
降りしきる雪の中を満開の花に戯れかけるように飛ぶ蒼き蝶
ずっと このまま美しい世界に自分を閉じ込めて
時を止めてしまいたい
抗いがたい危険な欲求を憶え始めたそのとき―
蝶がふっとかき消えた