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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第109章 導きの蝶~不思議の森へようこそ~
眼を見開く私の前にひろがる現実
聞こえるのは先刻と変わらない静かな雨音と
月もない一面の宵闇ばかり
五月の潤んだ大気を纏う夜は危うい魔力を秘めているのかもしれない
ふっと心の枷が外れたその瞬間
人は現実の向こうに潜む現ならぬものにいざなわれる
溜息をついて部屋に入ろうとた一瞬
雨の匂いに混じって花が強く香った
その香り高さはジャスミンに違いない
けれど 自宅にも近所にもジャスミンの花などどこを探してもないのだ
―どころか 今 眼前の庭には何の花も咲いていない
心を揺らす魅惑的な花の香りに未練をいだきつつも
疑問を封じ込めるように 雨音に背を向ける
初夏の夜 こころを現ならぬ世界に残して
聞こえるのは先刻と変わらない静かな雨音と
月もない一面の宵闇ばかり
五月の潤んだ大気を纏う夜は危うい魔力を秘めているのかもしれない
ふっと心の枷が外れたその瞬間
人は現実の向こうに潜む現ならぬものにいざなわれる
溜息をついて部屋に入ろうとた一瞬
雨の匂いに混じって花が強く香った
その香り高さはジャスミンに違いない
けれど 自宅にも近所にもジャスミンの花などどこを探してもないのだ
―どころか 今 眼前の庭には何の花も咲いていない
心を揺らす魅惑的な花の香りに未練をいだきつつも
疑問を封じ込めるように 雨音に背を向ける
初夏の夜 こころを現ならぬ世界に残して