この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第110章 真珠の小物入れ~想い出のカケラ~
鏡台の片隅でふと見つけた小箱
表面には一様に小粒の真珠があしらわれた小物入れだ
そっと手のひらに乗せてみる
埃を一面に薄く被った箱を開ければ
甦る想い出 また想い出
胸苦しいような懐かしい記憶
切なく泣きたくなるような郷愁
あれはまだ父が 祖父母が生きていた頃
私はまだ幼かった
祖母が旅行で伊勢からお土産として買ってきてくれた小物入れだった
母がしみじみと見入って言ったものだ
―これは伊勢の真珠でできたものだから、高価なものよ。大切にしなさい。
あの母の言葉が今 ありありと耳許で聞こえた
何気なく手を伸ばして埃を払おうとすると
表面にはりつけられた真珠の一つが
ふっと取れそうになった
慌てて更に慎重な手つきで触れてみる
表面には一様に小粒の真珠があしらわれた小物入れだ
そっと手のひらに乗せてみる
埃を一面に薄く被った箱を開ければ
甦る想い出 また想い出
胸苦しいような懐かしい記憶
切なく泣きたくなるような郷愁
あれはまだ父が 祖父母が生きていた頃
私はまだ幼かった
祖母が旅行で伊勢からお土産として買ってきてくれた小物入れだった
母がしみじみと見入って言ったものだ
―これは伊勢の真珠でできたものだから、高価なものよ。大切にしなさい。
あの母の言葉が今 ありありと耳許で聞こえた
何気なく手を伸ばして埃を払おうとすると
表面にはりつけられた真珠の一つが
ふっと取れそうになった
慌てて更に慎重な手つきで触れてみる