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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第143章 ドルフィン・リング
それはもう十数年前
長女がまだ小学校高学年の頃だ
生まれて初めて自宅を離れ宿泊研修を終えて帰った日
少し恥ずかしそうに
―これ、お土産。
小さな手のひらに乗せて差し出してくれたのは
可愛らしいイルカの指輪だった
―ママ、こういうキラキラした飾り物が好きだから。
持っていったお小遣いは三千円ほど
そのすべてをはたいて指輪を買ったという
自分の欲しいものも他の家族へのお土産も何一つ買わずに
娘は私が歓ぶだろうと指輪を買ったのだ

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