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第19章 他人と争わず、自分を貫いて生きる男の物語～映画　雨あがる～

何故なのか？

　指南役を正式に決めるために、午前試合が行われ、何と彼は藩主と戦うことになり

　つい本気を出して打ち負かしてしまいました。

　池に堕ちた藩主を気遣い、恐縮してわびる男。

　殿様は怒って、男はすごすごと宿に戻ります。

　そして、正式採用の朗報を待ちわびる彼の元に城からの使いがやってきて、

　賭け試合をした者を召し抱えるわけにはいかぬと殿の仰せである。

　と告げられます。

　その時、妻が使者の前に進み出て、

　大切なのは主人が何をしたかではなくて、

　何のためにしたかということです。あなた方のような木偶の坊に主人のしたこと

　は理解できないでしょう

　と言い返しました。

　賭け試合で得た金で買った食料を客の一人の老人が嬉しげに語りました。

　もう若くはないけれど、この歳なって、良いことがあると知りました。

　生きるって、良いことですね。

　そんな老人を見て、妻は

　常々、私は賭け試合を止めていましたが、これからは、あなたが

　お好きなときになさって、貧しい者たちを歓ばせてあげてくださいませ。

　夫に言います。