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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第166章 最後の授業(エッセイ)
「先生、今夜は緊張して寝られそうにねぇわ」
先生は私たちを教壇から一通り見回し、落ち着いた声音で言われた。
「大丈夫、布団に横になって眼を閉じているだけで、身体を休められるから。眠ろうと無理をしたら、かえってストレスになり余計に眠れなくなるから、眠れなくても気にするな」
担任は三十代の優しく穏やかな男性教師だった。そのひと言は私の心に深く響いた。随分昔なので、当日、自分が眠れたかどうかまでは憶えていない。けれど、先生がくれた言葉だけは不思議なお守りのように、人生初の大きな挑戦に向かう十五歳の心を励ましてくれた。
先生は私たちを教壇から一通り見回し、落ち着いた声音で言われた。
「大丈夫、布団に横になって眼を閉じているだけで、身体を休められるから。眠ろうと無理をしたら、かえってストレスになり余計に眠れなくなるから、眠れなくても気にするな」
担任は三十代の優しく穏やかな男性教師だった。そのひと言は私の心に深く響いた。随分昔なので、当日、自分が眠れたかどうかまでは憶えていない。けれど、先生がくれた言葉だけは不思議なお守りのように、人生初の大きな挑戦に向かう十五歳の心を励ましてくれた。