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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第184章 Tomorrow~直樹と有喜菜、その後
呼びかけても、返事はない。夫は再度、今度は大きな声で妻を呼んだ。
「有喜菜?」
彼の妻はまもなく臨月を迎える。一週間ごとの健診では、まだ生まれる気配はないというが、お産というものだけは何がどうなるか判らない。
彼が席を立つまでは、確かに側にいたはずだ。居間で生まれてくる赤ん坊のために小さなソックスを編んでいたはずなのに、どうして返事をしないのだろう。まさか、何かあったのか?
夫―直輝は狼狽え、居間に駆け込んだ。
と、妻の有喜菜の姿はない。
「おい、有喜菜」
居間に続く狭いキッチンに、妻はいた。大きなお腹にエプロンをかけ、甲斐甲斐しく立ち動いている。
「何してるんだ」
「シフォンケーキでも焼こうと思って」
「有喜菜?」
彼の妻はまもなく臨月を迎える。一週間ごとの健診では、まだ生まれる気配はないというが、お産というものだけは何がどうなるか判らない。
彼が席を立つまでは、確かに側にいたはずだ。居間で生まれてくる赤ん坊のために小さなソックスを編んでいたはずなのに、どうして返事をしないのだろう。まさか、何かあったのか?
夫―直輝は狼狽え、居間に駆け込んだ。
と、妻の有喜菜の姿はない。
「おい、有喜菜」
居間に続く狭いキッチンに、妻はいた。大きなお腹にエプロンをかけ、甲斐甲斐しく立ち動いている。
「何してるんだ」
「シフォンケーキでも焼こうと思って」