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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第192章 落花賦
花は幾夜も眠らず考えた
鳥の如き翼を得れば
遙か彼方まで飛んでゆけるものを
鳥もまた夜通し考えた
ある朝 鳥は花に言う
ー我が翼を汝に与えよう
花答えて曰く
ー汝は翼なくしては生きてゆけぬ
されば 我は花びらを散らし
ひとひらの花片となりて飛んでゆこうと
鳥は言う
ー花びらを散らせば 汝は最早生きてはゆけぬ
花は鳥の言葉にかすかに身をふるわせた
ー我は永久(とこしえ)に囚われるよりは
我が身を散らし花びらとなり自由を得るを選ぶ
鳥が見守る前で
花は数多(あまた)の薄紅の花片を散らした
それは玲瓏たる花が
生命賭けて生み落とした愛(めぐ)し児たち
数え切れぬほどの花びらが
涯(はて)なき天空へと舞い上がり
新たなる旅立ちに向かっていった
鳥の如き翼を得れば
遙か彼方まで飛んでゆけるものを
鳥もまた夜通し考えた
ある朝 鳥は花に言う
ー我が翼を汝に与えよう
花答えて曰く
ー汝は翼なくしては生きてゆけぬ
されば 我は花びらを散らし
ひとひらの花片となりて飛んでゆこうと
鳥は言う
ー花びらを散らせば 汝は最早生きてはゆけぬ
花は鳥の言葉にかすかに身をふるわせた
ー我は永久(とこしえ)に囚われるよりは
我が身を散らし花びらとなり自由を得るを選ぶ
鳥が見守る前で
花は数多(あまた)の薄紅の花片を散らした
それは玲瓏たる花が
生命賭けて生み落とした愛(めぐ)し児たち
数え切れぬほどの花びらが
涯(はて)なき天空へと舞い上がり
新たなる旅立ちに向かっていった