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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
店を出たとこで、行くとこもないし、俺は店先に座り込んだ。
店を出る客が、多分俺のことを横目でチラチラみてやがんだろうなぁ、なんて思いつつ、きっと酔っ払いが店先で寝てるって思ってくれるよな、と気にしなかった。
冬だから、当たり前っちゃあ当たり前なんだけど。
地面についた尻から、爪先から、寒気が容赦なく襲ってくる。ぶるっと身を震わせながら、できるだけ着物を引っ張り、身体を縮めて布の中に納まろうと努めた。
どのくらいしてからだろう。
店から出る客の足音も消え、きっとそろそろ店仕舞いの時間だ。と思った時。
のれんを仕舞いに来たるいさんが俺を見て驚く。
「あんた、何でこんなトコにいんだい?」
「行くとこないから。」
るいさんは、また二の句が継げなくなったようだ。
はぁー、と大きな溜め息が聞こえて。
「こんなトコで凍え死なれちゃ迷惑なんだよ。ウチに来な!」
と吐き捨てた。
俺は、今晩の宿を手に入れた。
店を出る客が、多分俺のことを横目でチラチラみてやがんだろうなぁ、なんて思いつつ、きっと酔っ払いが店先で寝てるって思ってくれるよな、と気にしなかった。
冬だから、当たり前っちゃあ当たり前なんだけど。
地面についた尻から、爪先から、寒気が容赦なく襲ってくる。ぶるっと身を震わせながら、できるだけ着物を引っ張り、身体を縮めて布の中に納まろうと努めた。
どのくらいしてからだろう。
店から出る客の足音も消え、きっとそろそろ店仕舞いの時間だ。と思った時。
のれんを仕舞いに来たるいさんが俺を見て驚く。
「あんた、何でこんなトコにいんだい?」
「行くとこないから。」
るいさんは、また二の句が継げなくなったようだ。
はぁー、と大きな溜め息が聞こえて。
「こんなトコで凍え死なれちゃ迷惑なんだよ。ウチに来な!」
と吐き捨てた。
俺は、今晩の宿を手に入れた。