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陽炎 ー第二夜ー
第3章 願わくば花の下にて
幾日かして…

いつものように、肩を寄せ合って眠る二人。

サチが、いつもより密に身体を寄せてくる。
「どうかした?」
「…….」
サチは目の下をうっすらと染め、甘えるような仕草を見せる。
八尋は、そんなサチを、やはり愛おしく感じる。

「どうして欲しいのか、教えて?私には、わからないから。」

もう、そうとしか言えなかった。

サチは、ほう、と一つ息を吐き。

「八尋が、私のことを抱けないって言ったから…
だから、私に、指一本触れないのだと思ってたの…
八尋の温もりを感じるのに、触れてもらえないから…
寂しいと思って眠ると、必ず市九郎の夢を見た…
でも…この間、気を遣ってくれたの、嬉しかった…」

サチの思わぬ言葉に、八尋は目を見開く。

「あんなのでいいなら、いくらでもしてあげるけど…それで良いの?」

サチはコクリと頷く。

「私が使えるのは手と舌だけだから、満足はさせられないと思ってた。でも、それでいいんだね?」

再びコクリと頷き、恥ずかしそうに胸に顔を埋めてくる。

八尋は目を伏せ、ぎゅっと唇を噛んだ。
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