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弓月 舞 after story 集
第2章 初詣に行きましょうか
零は、完全に転ぶ前に彼女の身体を支えていた。
「着物なんだから、もう少し淑やかに…さ」
「…そうする。──じゃなくてッッ 、あの絵馬の所を見ろ」
「んー?」
立ち上がりながらの茜が絵馬掛けを指差すので、零もそちらに目を向ける。
そこにいるのは…
「青崎高校の制服、ダネ」
「やっぱりそうだろう?それにあの顔──見覚えないか?」
「ない(←興味ない人間はすぐに忘れる主義)」
「…っ、篠田はそうかも知れないが…!! たぶん高2の時のあいつらだ」
高2の秋
零をおびき出すために梗子を連れ去って、結果…茜と零に返り討ちにされた連中だ。
なんで正月にまで制服を着ているのかはスルーしておくとして……。
「ふーん」
「隣の女性に絡んでいるな…っ、懲りない男達だ」
「…ちょ、茜さん?」
「篠田はここで待っといてくれ」
大股で歩けないのを煩わしげに、茜は絵馬掛けの所まで急いだ。